ステロイド剤が治療のために使用され始めてから約50年が経ちます。その間、この薬剤は「魔法の薬」と呼ばれる程、様々な疾患にすばらしい効果を発揮してきました。
特にアトピー性皮膚炎は、代表的な適用例と言えるでしょう。
安価でシャープな効果であるために一石二鳥の様に思える反面、適切な使い方をしなければ、長期に渡る使用により副作用の発現も大いに危惧されます。
勿論我々の専門外来でも今までに多くの患者さんをこの薬剤で治療し、満足のいく結果を得てきました。
しかしながら、「副作用の発現した時にどの様に対処するか?」あるいは、「若年齢で発症するアトピー性皮膚炎の場合、直ちにステロイド剤を使用してしまって良いか?」など数々の問題の解決策を見いだす努力も並行して行っていたのも事実です。
それゆえ、現時点での「アトピー性皮膚炎治療の最前線」として我々からの提案は、若年齢発症のケースでは、まずはステロイドを使用しない、減感作療法「Immunotherapy」あるいは、シクロスポリン療法にトライし、未だこれから先の長い生涯のサポートを行っていくことです。
同時にこれらのテクニックはステロイド剤を長期使用していたためにシリアスな副作用が発現しているケース及び、ステロイドが禁忌な病態にあるケースでの脱ステロイドにも応用します。そして、可能な限りステロイドフリーを目標に務めます。
勿論ステロイドも適用なケースでは、これからも思い切って使用していきます。
従って、個々の患者さんに本来のベストな治療法、即ち「テーラーメイド療法」をアナウンスします。 |